製品STORY

現場の想いをカタチにするまでの、熱い物語。

想いをチカラに CONCEPT

患者さんたちのために、いま私たちが諦めるわけにはいかない。

医療器具でできてしまう創傷のために生まれた、器具ストレス対策用クッション・ドレッシング、「ココロール」。一人の看護師さんの熱い想いと、さまざまな試行錯誤から誕生したこの製品の、開発の様子やエピソードなどを看護師さんご本人に伺いました。

(開発協力:松原WOC)
松原 恵み さん 松原 恵み さん

松原 恵み さん

診療看護師 皮膚・排泄ケア認定看護師(WOC)

ーー ココロールの発売が決まりました。これからは、医療器具によって起こる肌ストレスに、専用の対策ができるようになります。改めて、いろいろありがとうございました。

松原 おめでとうございます。私も嬉しいです。
ずっと前から「NPPVマスクで潰瘍になる患者さんが多いなぁ」って感じていて。
WOCは皮膚ケアの専門看護師なので、負担になりにくい装着方法は知ってるんですけど、現場のナースはそこまで知識や経験がない人も多かったですからね。今でこそMDRPU(医療関連機器圧迫創傷)という名前もついて、認知もかなり広がりましたけど。ようやくですね。

ーー 装着のやり方によってそんなに変わるものなんですね。

松原 はい。NPPVは気体が漏れないよう、どうしてもマスクを肌にギュッと密着させてしまうんです。個人に合わせて細かくフィッティングするにはコツがいるし、マスクの中もムレるからちょっとしたストレスで傷になりやすいんですよね。

ーー 治療のための器具が新たな傷を作ってしまっては、本末転倒ですもんね。

松原 それに、他にもいろんな器具で潰瘍が起こっていて。肌と機器がうまくフィットしていなくて、部分的に強い圧迫がかかっているせいだと気づいたんです。
とは言っても、患者さん一人ひとりのフィットを常に確認するのは、現場ナースにとっては大変な仕事。サッと貼れるクッション材さえあれば、誰でも簡単に手間なく予防できるのにな〜って。
そんな時たまたま学会でお会いしたから、言ってみたんです。「何かいい方法ない?」って。

学会の様子。かつてこの場所から松原WOCとのお話がスタート。
学会の様子。かつてこの場所から松原WOCとのお話がスタート。

ーー はい。「薄くて、クッション性があって、肌にやさしくて、ムレなくて、使いやすくて・・・」と、話を伺いながら「うわ、そんな製品ほんとに作れるだろうか」って冷や汗が出たのを覚えてます(笑)

松原 ふふふ。だって、周りにあるのは(値段の)高い治療材料で、ぜんぜん気軽に使えなかったんですもん。
治療材料は治療に使えば保険でお金が返ってくるんですけど、予防に使ってしまうと全額病院の負担になってしまって。

ーー ええ「予防のためには、安くて手軽でどんどん気兼ねなく使えなければ」って何度もおっしゃってましたよね。

松原 当然です(笑)。あと「患者さんが家や施設に帰られた後も本人や周りが使い続けられる、簡単で失敗しないものを」ともお願いしましたね。

ーー それもしっかり伺っております(笑)。

松原 あっ、もちろん私自身もいろいろ探したんですよ。
フワフワしたルームソックスがいいかな〜と、肌の弱いお爺さんにはかせてみたり、衛生用品を試してみたり…。

ーー こちらもすぐに開発担当に相談して、いろいろな素材を集めました。まずは、スポンジのメーカーからサンプルを取り寄せて…。

松原 あ〜、あの黒いスポンジね(笑)。あれは分厚すぎましたね。
エアウォールとかいいものを開発してるから、これも簡単にできるかと思ってたけど、意外と難しかったみたいで。

ーー ええ、なかなかイメージにぴったりの素材が見つからなくて。
開発でいちばん難しかったのが薄さでした。通気性のあるものでクッション性を担保しようとするとぶ厚くなってしまって。今まで全く関わりのないメーカーにもあちこち問い合わせたり、オリジナルで素材が作れないかなど検討したり・・・。サンプルが出来るたびに相談させていただきましたよね。

松原 そうね、20回は打合せしましたよね。仕事があるので時間もなかなかとれなくて、夜ご飯を食べながらお話したりとか。もう、早く終わらせたいのに終わらないから、ビールがなかなか頼めなくて(笑)。
ずっと諦めずに探し続けてもらって、やっと「これなら良いかも!」っていうあの白い素材が出てきて。「どこで見つけたの」って聞いたら・・・。

ボツになったサンプルたち(一部)
ボツになったサンプルたち(一部)

ーー 電子部品のパーツ(笑)。

松原 そんな分野まで探してたなんて、ほんと恐れ入りました。(笑)

ーー 今も悩んでいる患者さんがいるかと思うと、私たちが諦めるわけにはいかなくて。
素材が見つかったら、次は薄さや使い勝手などを少しずつ調整して、理想の形に近づけて。ようやく完成したときは、初めにお話ししてから3年も経っていましたね。

松原 ほんと、長い道のりでしたね。でも私の厳しい要望によく最後まで付き合ってくれたと思ってますよ。

ーー こちらこそ長い間ありがとうございました。「ココロール」という名前には“こころをひとつに”という思いが込められてるんですよ。

松原 あら、そうなんですね。ふふふ。
頂いたサンプルはさっそく現場で使ってみてますよ。フィルムドレッシングみたいな感覚でどんどん使ってます。重ね貼りもできるし、器具以外のところにも、ムレにくいクッション材としていろんな使い方ができそう。

ーー はい。また使い勝手や新しい用途のアイデアなども、ぜひお聞かせくださいね。改善を重ねてさらに良い製品にしていきたいと思っていますので。

松原 これで本格的なMDRPU予防の選択肢が広がって、たくさんの患者さんのよろこぶ顔が浮かびます。

ーー そう言っていただけると、私たちも本当にうれしいです。ありがとうございました。

ココロール

器具圧迫をやわらげる
「クッション・ドレッシング」
ココロール

器具にも肌にも貼れる、薄くやわらかい高クッション性の特殊素材なので、好きな形にサッと切ってパッと貼るだけで、肌をしっかりガード。患者さんの快適で効率的な治療の継続をサポートします。

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今回エアウォールUV発案・共同開発のパートナーであるさっぽろキズケア・アンチエイジング研究所の小浦場先生に、製品化までの経緯や、その奥にある「傷跡ケア」についての思いなどをいろいろ伺いました。

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